2008年3月1日土曜日

花粉症は環境問題である


あたくしは子供の頃から馬に乗っていたので,乗馬クラブに行くたびに鼻がぐずぐず,目がしょぼしょぼしてました.てっきり馬アレルギーだと思っていたのですが,後々調べてみると,どうもオーチャードグラスのアレルギーのようでした.
春になると同じような症状が出るなあと感じたのは大学に入った頃.
その当時は「スギ花粉症」なんて言葉も使われてなかった.
その後は数十年,点鼻薬と抗ヒスタミン剤のお世話になってたけど,数年前からぴたっと症状が出なくなり,今ではスギ花粉症は完治してます.
で,何でと訊かれても分からないし,アレルギーなんてまだまだ解らないことが多いから.
少なくとも血中のIgE濃度と症状は相関しません.
で,この本は長らく花粉症に悩まされた筆者が,「花粉症は環境問題」であることに気づいて書いた本です.
そうです,日本の林業行政がおかしいから日本中にスギが植林され,今になって花粉を飛ばしているのです.
この本には書いてないけど,いわゆる限界集落も元をたどれば,いい加減な林業行政で,スギさえ植えれば生活できるような環境を作ってしまったため,本来なら人跡未踏の山奥にまで人が住むようになり,林業の没落と供に若者が逃げ出し,限界集落となるのです.
あたくしもアレルギー関連の仕事から離れて長いので,新しい知見もありました.
  • 花粉症の発症は単純に花粉との接触量で決まる.空気のきれいな山間部のほうが,空気の汚い都心部より発症率が高い.
  • 花粉の少ないスギを餓えるのは無意味,本来日本の山は広葉樹林.スギを伐採して広葉樹を植えるのがよい.
  • 広葉樹は移植が難しい
  • 杉林は根が浅いので大雨の時の崩落を防げない
  • 欧州の森は全て一度丸裸になっているのだけど,原因のひとつがアルマダの戦いに多くの木材を使ったから.
  • その後を牧草地にしたので英国で枯草熱が流行った.
たしかに欧州の森は丸裸になっているし,ドイツのSchwarzwaldだってほとんどが植林された木だし.ギリシャにオリーブ以外の木が少ないのは,山羊の世だという話は聞いたことがあるわ.
そう言えば南東北の某ショッピングセンターが,入り口にシンボルとして大きなケヤキを植えたのだけど,夏が越せずに枯死してしまい,植え替えに苦労したとか.
さて,この本は2月の新刊なのですが,案の定南東北の本屋にはまだ並んでませんでした.最新の蔵書検索システムで検索してみると,タイトルは出るのに「未入荷」になってました.
文化の伝搬は遅い

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