2010年6月18日金曜日

コクーン歌舞伎 佐倉義民伝

2010年6月18日 コクーン歌舞伎 佐倉義民伝☆☆☆☆☆ 於 シアターコクーン

木内宗吾・・・・・・・・・・・中村勘三郎
駿河弥五右衛門・・・・・・・・中村橋之助
おぶん・徳川家綱・・・・・・・中村七之助
甚兵衛・・・・・・・・・・・・笹野高史
幻の長吉・・・・・・・・・・・片岡亀蔵
家老・・・・・・・・・・・・・板東弥十郎
堀田上野介正信・おさん・・・・中村扇雀

コクーン歌舞伎というと,本火,本水を使った派手で外連の多い舞台と思いがちですが,本作は全くのストレートプレイと言っても良い作品です.佐倉の民百姓の為に直訴し,家族もろとも殺された名主宗吾の話です.
勘三郎演じる宗吾,自分の子供にも敬語で話しかけるような奴.声を荒げることなど無い.その宗吾が「今一度お上の慈悲に」と百姓を抑えるが,その度毎に裏切られ,遂に直訴を行う.
直訴前に女房を離縁しようとすると「私もお供します」そして,子別れのシーン.涙が止まりませんでした.
そして,直訴のシーンは,とても映画チックに,無音でスローモーション.
ところが藩は,「宗吾の家系は根絶やしにする」と乳飲み子の末娘を戸籍上男子に変えてまで,殺すことにする.宗吾の前で次々に殺される子供たち.その時磔刑台上の宗吾は「民百姓の為と思っていたが全ては自分の子供のためであった」ことを悟り,念仏を唱える子供に「念仏を唱えるな,成仏するな,怨め,怨め」と叫びます.涙涙です.(何かに似てると思ったら「火刑台上のジャンヌ・ダルク」で,神憑りだったジャンヌが突然「死にたくない!,怖い!」と叫ぶところでしたね)
ラップが入っていたり,串田節もありますが,恐ろしいほどに本格的な芝居です.素晴らしい作品です.
ぜひとも再演を見たいものです.
客席には,渡部えり子,山田優,陣内孝則,役所広司など,多くの芸能人がいました.

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