2015年10月25日日曜日

八田與一先生墓参

次の目的地は烏山頭ダムです.台中から台南にかけては嘉南平野と呼ばれる広大な平地が広がっていますが,干魃に悩まされていたこと,塩害がひどかったことから,全く農地として役に立たない不毛の平野でした.しかし,この辺りは温暖で気候も良いので「水さえあれば一大穀倉地」になる可能性がありました.

日本人土木技師の八田與一氏はこの地にダムを作り,灌漑設備を充実させ嘉南大圳と呼ばれる水利設備を作り上げました.はじめは貯水量が少なかったため「稲,砂糖黍,雑穀」の三毛作を行いましたが,現在は年四回の稲作が可能な台湾一の穀倉地帯になりました.農民も潤い,生活が安定しました.
それだけではなく,八田は,マラリアの予防のための薬(キニーネ?)を飲みたがらない現地労働者に飲ませるべく,労働者を一列に並べて薬を飲ませ,全員の口の中を覗いて薬を飲んだか確認したり,労働者の慰労のために色々催しをしたり,博奕で捕まる労働者が多かったので,治外法権にして度を越した博奕以外は認めたりと現地人のために色々と骨を折りました.
あたくしには詳細はわかりませんが,烏山頭ダムは,現存する世界で唯一のセミ・ハイドロリックフィル工法ダムだそうです.台湾の地質に合わせて,コンクリートを使わずに最も耐久性のあるダムを作れたのがこの工法だとか.
八田與一氏はその後,1942年フィリピンでの灌漑調査に向かう途中,乗っていた船が米軍の潜水艦に撃沈され亡くなりました.1945年,終戦後,日本に引き上げる準備を済ませた未亡人は,子供たちを着替えさせ,見送ると正装して烏山頭ダムに向かい,放水口に身を投げ自死なさいました.あたくしの目的は墓参です.

烏山頭ダムに行くには幾つかルートが有ります.金持ちは嘉義からタクシーをチャーターして向かうそうです.現地観光案内所で色々聞いたら,あたくしのような貧乏人は台鉄で台南方面に向い隆田から向かうのがリーズナブルのような.
隆田の駅前にタクシーが屯しているので交渉します.
ネットで検索したら「烏山頭ダム,八田與一記念館,八田與一記念公園」を回って隆田の駅まで戻るコースが700-750元位の値段,今年は800元ということなのでお願いしました.(東京人は言い値で買うのが美徳,値切るなんてもってのほか)
ダム入り口で200元払います(観光客だけ,運転手,ガイドは無料)

八田與一氏像.この像は戦争中供出にあいそうになりました.供出の時,何故か行方不明.村人達が隠蔽したのです.戦後ここに再度置かれました.

像の裏に御夫婦のお墓が.お線香を手向け慰霊.



ダムの水.

夫人が身を投げた旧放水口.現在はほとんど放水しないそうです.ここに八田與一記念館があります.KANOで八田與一を演じた大沢たかおのサインも展示されてます.

5分ほどドライブすると八田與一記念公園があります.当時の八田邸や近隣の家庭が再現されていたり(かなり盛っているようです.)


新たに奥様(外代樹さん)の像が増えたり.
現地の高校生が課外授業か何かで大勢訪れていました.

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