2017年8月26日土曜日

ミカドの肖像

今日,新国中劇場で「びわ湖ホール」制作のコミックオペラ「ミカド」を見てきたのだけれど,とても面白い演奏だったの,で,あたくしとGilbert &Sullivanの付き合いは結構長いの.
クラシック好きならG&Sのオペラのことは「話としては知っている」けど「見たことも聴いたこともない」音楽だらけだったの,当時は(昭和).
初めて映像を見たのは1978年制作のアメリカのコメディ映画「ファール・プレイ」の中だった.
サンフランシスコを訪問するローマ法王ピオ13世,実は暗殺計画があり,その場所が「ミカド上演中のサンフランシスコ・オペラ」・・・・なわけ無いじゃない.プロトコールでは天皇陛下と同列,諸王より格上のローマ法王を「ミカド」なんていうアチャラカオペラでもてなすなんて.
その頃はもう,ドイリー・カート・オペラカンパニーが虫の息で,嘗ての同オペラスター歌手ヴァレリー・マスターソンがゲスト出演してなんとか延命していた時.
あたくしもそのぐらいの頃から秋葉原の輸入盤を漁るようになり,幸いサー・マルコム・サージャントが当時の英国のスター歌手を集めて(ロイヤル・オペラの華,ラファエル・クーベリック夫人エルジー・モリソンやマージョリー・トーマス)ステレオ録音があり,よく聴きました.
当時の日本のオペラ界は,ヨーロッパに追いつけ追い越せで,やっと原語上演が始まったころ.「ミカド」だの「HMSピナフォー」なんか上演している場合じゃなかった.
G&Sをレパートリーに持つ劇団は,なんと名古屋の「スーパー一座」という劇団だった.名古屋の大須演芸場で八月と十二月,一ヶ月間演芸場を貸し切り,夏はオペラ,冬は歌舞伎を上演していた.その劇団の横浜公演がにぎわい座であったので見に行ったのが初めてのG&S体験.演目は「ユートピア国株式会社」G&Sの中ではヒットした作品ではないようだが,面白かった.
ここの劇団も東京オペラプロデュースのように「欧米では上演されるのに日本では上演られない曲」(東京オペラプロデュースの場合「だから上演されないんだよ」な作品もあるけど.)
その後名古屋詣では続き「山賊」「サルタンバンク」「青ひげ」「カルメン」「パロマの前夜祭」とスーパー一座が解散するまで通いました.口コミで東京のオペラファンが大挙して通うようになりました.
ミカドは秩父オペラ(ミカドの都がthe town of Titipu」なので「秩父説」があるからで,2006年には英国で上演し,その凱旋公演を芸劇で見ましたが,中途半端に英語と日本語がちゃんぽんで,それほど楽しくはなかった記憶が.今回は違いました,徹頭徹尾楽しめました.では.

0 件のコメント: